すみだの四季

江戸の景勝地「向島」や賑わいの中心であった「両国」。江戸からの文化や伝統を引き継ぐこのまちは、四季おりおりのさまざまな表情を見せます。

梅は百花にさきがけて咲く。すみだの四季は、冬の寒苦に耐え、春の訪れを告げる梅の花からはじまります。梅見は春を待ち焦がれる江戸市民に大人気で、市中の梅園には大勢の行楽客が押し寄せ、たいへんな賑わいをみせたといいます。江戸時代より続く梅園で行われる「梅まつり」には、毎年多くの人が訪れ多彩な梅の香りを堪能しています。8代将軍・徳川吉宗が民衆にも花見ができるようにと開放した由緒ある地、墨堤(ぼくてい)の「墨堤さくらまつり」もすみだに彩りを添えています。向島芸者衆による芸妓茶屋や賑やかな和太鼓演奏は必見。吾妻橋から桜橋までの約1kmにわたり、様々な種類の桜が作り出す見事な桜トンネルは、今も昔も花を愛でる人々を魅了しています。

春

言わずと知れたすみだの夏の風物詩「隅田川花火大会」。”両国の川開き”としてはじまった大輪の華は、今日も人々の目を惹きつけ、すみだの夏になくてはならない大きな行事となりました。日本一の花火を決める「全国花火コンクール」が開かれ、全国の花火師の作品がさまざまな意匠をこらして競演され、毎年盛り上がりを見せます。8月に入ると江戸名園の一つとして数えられていた旧安田庭園では、「納涼の夕べ」が行われます。おすすめは池に浮かんだ茶席での野点。豊かに生い茂る木々の表情を見つめながらのお茶会は、夏の夜のひと時をいっそう味わい深いものにします。また、ライトアップされた幻想的な庭園の中で、お琴や尺八の音色に耳を傾けるのも風情。

江戸の華とも言える「祭り」。すみだの人々は祭礼を起点に一年を過ごす、というほどお祭り好きです。区内のあちらこちらで煌びやかな神輿が練り歩き、粋な若衆の威勢のいい掛け声が街にこだまします。なかでも氏子五十余町会を見守る牛嶋神社の大祭は圧巻。50基の連合渡御では通りが神輿で埋め尽くされ、下町情緒あふれる街並みと担ぎ手の熱気が溶け込む・・・これぞ血が騒ぐ光景です。文人墨客に愛され続けた向島百花園では、全長約30mを誇る萩のトンネルを愛でる「萩まつり」が開催されます。初秋を美しく彩る萩は古くから日本人に親しまれ、万葉集で最も詠まれている花です。秋の日差しに葉の緑と花の紫があふれ、なんとも言えない雅な雰囲気に包まれます。

秋

元禄15年12月14日の夜、両国は日本で最も有名な事件の舞台となりました。日本人の誰もが知る「忠臣蔵」。そのハイライトである討ち入りの舞台となった吉良邸跡周辺では、地元では名君と名高い吉良上野介と家臣たちを弔う「吉良祭」をはじめイベントがもりだくさんです。2つの忠義が交じり合う地で、日本人の心に深く刻まれた歴史に思いを馳せてみるのも一興です。新しい年の始まりを告げる江戸東京の風物詩「隅田川七福神めぐり」。江戸後期の文化・文政年間(1804~1830)、佐原鞠塢が開いた向島百花園に集う名だたる文人たちによって始められました。風流人たちに習い、初春の隅田川沿いを桜餅やだんごをほおばりながら福の神を巡る・・・向島ならではのお正月の楽しみ方です。

冬